吉野家HDの減益に見る、牛丼業界の現状と今後

牛丼 ビジネス
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3連休も残すところあとわずか。皆さんいかがお過ごしですか!

我が家では子供が突然の高熱&嘔吐でてんやわんやしている状況です。

本当は日曜の夜~月曜にかけて、久しぶりにどこかへ遠出でも…と考えていたのですが、こうなってしまっては仕方ないですね…。泣く泣く家で待機です。

吉野家の発表したマイナス決算

さてさて本日は、皆さんもご存じ牛丼で有名な「吉野家」についての考察を行いたいと思います。

というのも、先日こんな記事が目にとまったからです。

【吉野家の純損益が15億円の赤字に転落 時給上昇による人件費の増加が響く】

記事によりますと、2018年3~11月決算に関して、営業損益は562百万円の赤字となっており、同期間での赤字転落はおよそ9年ぶりとのこと。

結果、株価は決算発表を受け9.95%の下落と、なかなかの大きさのマイナスインパクトとなってしまったようです。

証券営業時代の話ですが、株主配当の権利確定1ヶ月程前に、吉野家HDの株を必ず購入されるお客様がいたので、ある意味思い入れが深い銘柄でしたので、このマイナス決算は何だかショックを受けてしまいますね。

マイナス決算の要因とは?

今回の営業損益赤字の原因は何なのでしょうか。

報道されているニュースを見てみると、主に以下の要因が収益圧迫の要因となったようです。

・原材料費(コメ・牛肉など)の価格上昇

・人件費の価格上昇

・自然災害による営業期間の短縮による影響

また吉野家HDの決算短信についても確認をしてみましょう。
以下のページから進むことができます。

【吉野家HD公式HP:決算短信ライブラリ】

決算短信を確認すると、売上高に関しては昨年同期比を上回っており、順調に成長をしていることが分かります。(「吉野家」単体では3.8%の売上高増)

これは他社とのコラボレーション含む定期券の販売や、季節ごとの新商品の投入といった販促活動の効果により、既存店舗の売上高が前年比102.7%となったためです。

反面ネットニュースの報道の通り、原材料や人件費の価格上昇により、営業損益は赤字に転落したとのことでした。

原材料の価格上昇については、私も専門ではないため実情については具体的に分からないところが多くあります。

ただ人件費高騰に関しては、最近の求人情報を見ても明らかに自分が学生の時と比較して時給が変化してきていますし、そうした環境の変化をこの記事を読んでいただいている方も感じておられることかと思います。

競合の動きはどうか

ここまできて気になったのが他社の動きです。

吉野家の決算短信を見ていると、記載されている赤字転落の要因が、どれも外部環境が原因となっているもので対策のしようがない…という風に訴えかけている印象が大きいんですよね。

であれば、他社も今期に関しては利益向上について、吉野家と同じように相当厳しいはず。

そこで他社の決算短信についても調べてみました。

ゼンショー

吉野家同様、決算短信からゼンショーについての分析を行っていきます。

【ゼンショーHD公式HP:決算短信ライブラリ】

まずは吉野家が9年ぶりの赤字に転落してしまった「営業利益」に関してですが、ゼンショーは10,340百万円の前年同期比3.1%増となっており、内容はそれほど悪くないような印象を持ちます。

(もちろん、吉野家HDと決算発表時期が異なりますので、単純に横並びでの比較ができないことは理解した上で見ています。)

また「経営成績に関する説明」についても、吉野家同様、人件費や原材料の価格上昇、自然災害の影響により、厳しい外部環境であったとする記載が見受けられます。

その中でも牛丼カテゴリーの「すき家」においては、既存店売上前年比が103.2%と上昇しています。これは吉野家の102.7%と比較して高い数字となっているため、より好調な様子です。

さらに牛丼カテゴリーのみに焦点を当てて見ていくと、ゼンショーでは「すき家」と「なか卯」の2社を運営していますが、「すき家」では健康をテーマとした商品開発を行い、「なか卯」でも季節ごとの新商品投入などを通じた経営を行ってきたようです。

その結果、第2四半期連結累計期間の売上高は107,874百万円と、前年同期比5.4%増となった模様です。

またゼンショーの牛丼以外のカテゴリーに関して見ていくと、レストラン(ココス、ビッグボーイ、ジョリーパスタなど)、ファストフード(はま寿司)、その他物流や小売りのスーパーマーケットについては、全て第2四半期連結累計期間の売上高が前年同期比で減少していることが分かりました。

このことから、ゼンショーにおいては牛丼カテゴリーが売り上げをけん引しており、なおかつ拡大しているという事実が明らかになりました。

松屋フーズHD

最後に松屋フーズHDの決算短信も見てみましょう。

【松屋フーズHD公式HP:IRライブラリ】

営業利益は1,504百万円、前年同期比22.9%減と大幅な減益となってしまっています。

売上高に関しては47,600百万円、前年同期比4.2%増でしたので増収減益という結果ですね。

まず外部環境に関しては、競合2社と同様の分析を行っているようでした。

さらに読み進めていくと、松屋フーズHDでは主力を牛めし事業、第2の注力セグメントとしてとんかつ事業に投資を行っているようです。

その後に経営指標について言及がなされていますが、まず売上高は前年同期比で4.2%増(既存店が100.9%増、そこに新規出店分がプラスされた形)と好調だったようです。

一方、売上原価については、食材の仕入単価変動等により、原価率が前年同期の32.2%から32.8%に上昇。これは他社同様、市場環境によるものですね。

また販管費については、売上高に対する比率が前年同期の63.5%から64.0%と増加しています。

内容としては、人件費の売上高に占める割合が前年同期の35.4%から34.7%と改善したものの、新規出店、改装実施の店舗数増により、人件費以外の経費の売上高に占める割合が、前年同期の28.1%から29.3%と上昇したことによるものとのこと。

販管費上昇となると数字の上ではネガティブに受け取られるところではありますが、上記のような設備投資であれば、必要な費用ではないかと考えます。

上記の結果を踏まえて、松屋フーズHDを見ても、売上高は上昇していることから、非常に厳しい市場環境というわけではないのではないかと考えています。

比較してみて各社のギャップ分析

さて、3社見ていきましたがそれぞれの結果を関連付けて見ていきます。

まず売上高について、3社調べた期間は同じではありませんが、対前年同期比でいずれも売上高が伸びています。よって、この数字から牛丼業界の市場規模はまだ成長を続けているということですね。

さらに営業利益の面から比較をしてみると、ゼンショーは増益、松屋フーズHDは減益ながらも黒字で設備投資が減益の大きな理由、吉野家HDは減益かつ赤字というものでした。

同じ牛丼カテゴリーに所属する会社にとって、原材料費の高騰や人件費の価格上昇、また自然災害による影響は、大小あれど3社全て影響を受けているはず

ではなぜ吉野家HDのみがこれほど大きな赤字となってしまったのでしょうか。

もちろん松屋フーズHDのように設備投資を行ったという要因もあるでしょう。しかし一番の原因は人件費によるところが大きいのではないかと考えています。

これは吉野家HDのこだわりのようですが、券売機を置かない主義だそうです。理由としては接客行為が減ってしまうためという、何とも情緒的なもの。

個人的にはAI活用や機械化といった流れが主流な昨今、こうした人と人とのふれあいを大事にする企業精神については、営業職に従事する身としては非常に好意的なところですね。(雇用を生み出してもいますしね)

ですが経営という目線で見た場合には、このままでは競合に後れを取ってしまうのではないかと思います。

参考までに上記の決算短信から、各社における売上高に対する販管費の割合を算出しましたので以下ご覧ください。

やはりこの表を見ても、吉野家HDの販管費は競合と比較して上昇率が大きいため、今後コストカット等を実行していく可能性があるのではないかと考えます。

今後の動向について

今回の分析で各社利益圧迫の要因として挙げた人件費や食材の価格上昇は、今後も続いていく可能性が残っていると思われます。

世界情勢を見ても米中貿易摩擦をはじめ、トランプ政権が各国に対し関税を盾に各国に強硬な態度を取っている為です。

ただTPPの発効が決定されたことにより、牛肉については今後16年間で関税が年々引き下げられていくことが決まっているため、牛丼屋にとっては追い風が吹くタイミングがあるのかもしれませんね。

また人件費に関しても、今後しばらくは上昇の可能性があるかと思いますが、今後移民法案の状況次第では、パートやアルバイトの時給に関しては大きな上昇の流れは起こりにくいのではないかと個人的に考えています。

よってここ数年の間に食材・人件費ともに大きな上昇圧力があるかもしれませんが、この局面さえ乗り切れば、販管費の上昇圧力に対しては乗り切れるのではないかと思います。

現時点の決算ではそれぞれの優劣ははっきりついてしまっているかと思いますので、例えば現時点での調子の良いゼンショーが、更なる構造改革の為の投資を積極的に行うことがあれば、吉野家HDにとっては厳しい局面が続いてしまうかもしれませんね。

終わりに

今回、こうして業界分析を行ったことで、自身も非常に勉強になることが判明しました。

自身が知らない業界に対して分析を行う、そうすることで得た気づきを記事としてアウトプットをすることで、自分自身の分析力の向上につながるような気がします。

なお、恥ずかしながら私に業界の専門的な知識は皆無の為、ご意見等頂けるのであれば非常に嬉しいです。

ではではこのあたりで。次回もよろしくお願いします。

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