皆さんは金融商品を購入されたことはありますでしょうか?
金融商品とは預金・株・債権・為替・投資信託など、いわゆる金融機関で取り扱いのある商品のことです。
金融商品には預金も含まれるので、恐らくこの記事を読んでいるほぼ全員の方が、自身の名義の金融商品は何かしら保有しているものと思われます。
上記の中でも、「投資」と呼ばれたときにイメージされるのは、株や債券など価格変動するものが当てはまりますね。
本日の記事は「投資信託を初めて購入しようと考えている方」もしくは「保有資産(特に投資信託)の売却を営業マンに止められた経験のある方」には是非読んで頂きたい内容となっております。
私は学生の頃から株や為替の取引を行っていたことや、証券会社での勤務経験もあるため、投資性の金融商品に関して、良いイメージがあるわけでもなく、悪いイメージがあるわけでもなく、中立のイメージを持っています。
中立の立場として、元証券会社の営業の際に様々な方とお話をしてきましたが、世の中の多くの方は「金融商品って何?投資って危ないのでは?」というようなイメージを持っているようにも感じます。
金融商品におけるリスクとリターンの関係は、基本的に比例しているので、単純に危ないということはないです。
ただある程度の知識を持っておかないと、営業に良い部分を強調して説明されて購入し、思わぬ損失が発生してしまうという可能性もあります。
今回は上記のような背景を念頭に置きながら、「投資信託」について見ていきたいと思います。
また元証券営業の目線から、実際の営業現場で「投資信託」という商品がどのように見られていたのかをお伝えしたいと考えています。
証券会社にとって、投資信託はストック資産
投資信託を運用している会社からすると、「投資信託は預かり残高に応じて手数料が発生するストック資産」なんですよね。
これについては手数料の理解が必要なのですが、投資信託には2種類の手数料が存在します。
「購入時手数料」と「信託報酬」と呼ばれるもので、個人的には後者の考え方が結構くせものなように認識しております。
詳細については後ほどご説明いたしますので、少しお時間をください。
純減
この「純減」が投資信託の健全性を損ないかねない一番の原因となっているものだと思います。
他の証券会社や銀行でもこの言葉って通じるのでしょうか?とにかくこれが発生してしまうと、その日は営業として自由に動けなくなったものです。
純減とは、投資信託が売却されることを言います。
そして売却金額分がマイナスカウントされてしまうため、その補填を行わなければならなくなります。
なので営業活動に死ぬ気で取り組むしかなくなります…。
ではなぜ投資信託が売却されると営業マンにとってネガティブな状態になってしまうのでしょうか。
それは投資信託という商品の手数料体系に原因があります。
投資信託の種類と手数料
投資をされている方ならご存知ですが、例えば株式を売買するときは、買う時も売るときも手数料がかかります。
証券会社や対面、電話、ネットなどの取引方法でその手数料率は変わりますが、売買が行われたときにのみ手数料が発生し、それが会社の利益となるわけです。
同じように投資信託にも手数料が存在します。
1つは「購入時手数料」と呼ばれるもので、投資信託の種類によって大小異なりますが、購入時に購入金額の数%程度を支払うというもの。
銀行や郵便局で投資信託を販売するのは、この手数料が他の金融商品と比較して利益率が高いからだと思います。
証券会社でも、投資信託の販売手数料率は他の商品と比較しても高めだったので。
ここで投資信託の種類について少しご説明をさせて頂きたいのですが、投資信託には指数連動型などのパッシブ(インデックス)ファンドと、指数などの比較対象であるベンチマーク以上の運用成果を出すことを目的とするアクティブ・ファンドの2種類が存在します。
パッシブ・ファンドは手数料が安いことが多く、アクティブ・ファンドは手数料が高い場合が多いです。
また投資信託にはもう1つ、「信託報酬」と呼ばれる手数料が存在しています。
これはファンドマネージャーと呼ばれる、投資信託の運用を管理している人に支払う報酬などに充当される手数料ですが、この信託報酬が純減が大きく叫ばれる要因となっているのです。
というのも、信託報酬とは購入時手数料などの一時的に発生するものとは異なり、年率○%という形で保有する投資信託の金額から毎日日割りで引かれているのです。
ということは、その信託報酬が発生する投資信託が売却され、その残高が減ってしまった場合は、信託報酬の金額も下がってしまうことになります。
そのため証券会社の営業マンは、投資信託の残高を増やし続けることがメインミッションとなり、逆にその残高を減らしてしまうことを避けるように、日々営業活動を行っているというのが現状なのです。
お客様からの意見
思い返せば自身の担当していないお客様からの電話を取った時、保有商品の売り時を教えてくれなかったことについて、クレームに発展することもしばしばありました。
それは上記の理由から、営業マンが売却をされることのないよう都合の良い見通しや情報をお客様に提供し、お客様の本意ではない方向へと誘導を行ったために発生していたものであったのかもしれません。
もちろん上記の行為は、「売り止め」と呼ばれ、金融商品取引法に抵触する行為になりますのでやってはいけないことです。
しかし売り止めに近いととらえられてもおかしくないようなことも、現場では起こっていたのではないかと思います。
この「純減を回避させる」という考え方は、会社側からすれば利益の源泉を守る行為となりますが、本当にお客様の為になっているのかという点で考えた時に、当時の私はずっと疑問に感じていました。
おわりに
実は先日、元同期と一緒に食事をするタイミングがあり、久しぶりにこの純減という言葉を聞き、それがきっかけで色々と証券営業時代の記憶が鮮明に思い出されたので記載を致しました。
「お客様目線で」という目標を掲げながら、現場では日々の営業活動を行っていますが、証券営業の現場が真の意味でお客様第一になるには、残念ながらまだまだ時間がかかりそうですね。
皆さんも証券営業から良さそうな話をもらった場合、自分自身で投資可否の判断ができない場合は、身近な人に相談してみるのも良いかと思います。
ただし、投資には「自己責任の原則」というものがありますので、最終的には自己責任で投資の判断を行ってください。
もし本当に興味があるのであれば勉強することも必要ですよ!
↓証券営業からの購入について、気を付けた方が良い商品についてまとめました
コメント
[…] 【投資信託】元証券営業マンが、販売側の視点から見た問題性皆さんは金融商品を購入されたことはありますでしょうか?金融商品とは預金・株・債権・為替・投資信託など、いわゆる […]